焼酎百景 酒草子(しょうちゅうひゃっけい ささぞうし)

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2004年08月12日

焼酎と旬の和食の店「AOBA」 with 宮崎の芋焼酎

この度やまけん氏とともに、まっすぐな心でつくられている焼酎を、ブームに流されることなく応援していきたいという思いでこのblogを書くことになりました、ちえです。おいしいお酒と料理のために生きている会社員です。どうぞよろしくお願いします。

さて、今回は東京・中目黒の「AOBA」に焼酎を持ち込んでお邪魔しました。このAOBA、大学のサークルの先輩の行きつけのお店ということで紹介してもらって私も行くようになりました。料理のうまさ、焼酎の品揃えの多さ、店長のきさくさ、店の雰囲気の良さと四拍子も揃っていて、私がとたんに惚れこんでしまった店なのです。

持ち込んだのは宮崎の芋焼酎6種。最初の写真の左から、甕雫、スーパーライトかんろ、かね京かんろ、かんろ、特選かんろ、時代蔵かんろ。アルコール度数や麹の種類、芋の種類や芋の皮のむき方まで違うものです。

(宮崎県限定販売の「かね京かんろ」以外はe-shouchu.com(イー ショウチュウ  ドットコム)にて購入可能です。但し商品によっては発送に時間がかかるものもあるのでご注意を) 

今日は「AOBA」店長、羽山氏にこれらを試飲してもらい、感想や焼酎よもやま話をききつつ、焼酎に合った料理を作ってもらおうという魂胆。「宮崎の焼酎は大体20度が多くて、軽くて飲みやすいものが多いんだよね。」と店長。果たして、それに合う料理とはどんなものか?そしてどんな話がきけるのか?今からわくわく!

まずは本題に行く前にヱビスビールで喉を潤し、山形の「小真木(こまぎ)」という品種のだだちゃ豆を頂きました。見てください!このほわほわの産毛を。この産毛と、茹でたときの甘い香りがだだちゃ豆の特徴だそう。香り高い茹でたてのほこほこを食べると、しっかりした歯ごたえのなかからうまみと甘味が押し寄せてきて、それを冷たいビールでくいっと流す。最高の一瞬です。

このお店、店長が料理をすべて担っていて、とても忙しそう。そこで店長の調理が落ち着くまでは自分セレクトで料理と焼酎を合わせてみることにしました。まずは「イモつながりだから、合うかも?」と、里芋の唐揚げをあわせてみることに。里芋を薄衣でカラリと揚げたものに塩をちょん、とつけて。表面のさっくり感と、中のねっとり感のバランスが絶妙。そして持参の芋焼酎が、このねっとり感を流しつつ、さらに芋独特の風味と共鳴して、イケル!と確信しました。

唐揚の脂をさっぱりと流したいのなら、すっきり系の「甕雫」「スーパーライトかんろ」「かね京かんろ」が、流しつつも、里芋×さつま芋の共鳴を楽しみたいなら、芋の味が強い「かんろ」「特選かんろ」「時代蔵かんろ」が合うのではないかな?これだけ種類があると、自分がどう食べたいかによって選べるから楽しいですね。

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さあ、そして店長、羽山氏の試飲+料理のセレクト。(ぜひ顔写真を!とお願いしたのですが、「顔をみてお客さんがこなくなったら困る」とシャイなお答え。ナイスガイなのに、残念!)

「同じ九州の焼酎でも、鹿児島は芋、熊本は米、というように、きっちりカテゴリー分けされてるけど、宮崎はそれぞれの文化の交差点だから、芋、米、麦と色々あるし、それぞれがクセがなく飲みやすいことが多いんだよ。だからどんな料理にもあわせやすいのが特徴だね」

なるほど。ただでさえ焼酎は食中酒で料理と寄り添うように合うというのに、さらにクセがないということは、要は何にでもあってしまうということですよね。料理とお酒を気軽に楽しみたい人にとっては嬉しいお酒です。

それでもあえてぴったりを見つけるならと、店長がおすすめしてくれたのは地鶏です。ご存知の方も多いかもしれないですが、宮崎は地鶏の炭火焼き、チキン南蛮などといった、地鶏を使った名産品が多いのです。その土地の料理とその土地の焼酎、これは文句なしに合うに違いない、ということで、まずは地鶏の網焼きをいただくことにしました。

鶏は徳島産の滋養鳥というもの。写真の右手前は心臓部分で、奥は白レバー。白レバーは1/20羽からしか取れないそうです。これを炭火で焼き、白レバーはゴマが利いたタレで、他は柚子胡椒とレモンで食べます。「新鮮だから、さっとあぶるくらいでいいよ。でも心臓はよく焼いたほうが、コリコリ感がでて美味しいよ」と店長。

この炙るプロセスも楽しい! そして鶏を口に入れるとさっと炙っただけなのに、しっかりとした歯ごたえ。そして品のいいコクみを、柚子胡椒とレモンが引き立ててくれます。レバーも焼くことで程よく脂が抜け、生臭さもまったくありません。

そして焼酎に合わせてみると…うーん、ぴったり。今日持参の焼酎はいわゆる「芋くささ」を感じないものでした。それでいて、「芋らしくない芋焼酎」というわけではなくて、ちゃんと後味に、心地よい風味として残っているのです。それが鶏肉のうまみを邪魔せず、かつ鶏の強さに押されることなく共存している感じ。

また、今日持参した焼酎の印象と、飲み方についてのご意見をいただきました。

甕雫は焼酎初心者にも飲みやすいね。ストレートで飲みたい。かね京かんろは鼻に抜ける感じが黒麹らしい。かんろはとてもバランスがいい酒だ。黄金千貫(コガネセンガン)を原料に使った、定番の味だね。ロックでも飲みやすい。特選かんろは常圧蒸留で白麹だから、お湯割にあいそうだね。一般的に常圧蒸留の白麹はお湯割に合うんだよ」

私はこの取材にいくまで、「この焼酎とこの料理は合うだろうか?」という組み合わせは考えていましたが、「この焼酎は水割、お湯割、ロック、ストレートのうち、どの飲み方で飲めば一番よさが引き立つだろうか?」というところまで考えが及んでいませんでした。店長のこの感想を聞いて、焼酎の特徴が分かった上で飲み方や料理を選べるのって、かっこいいなー、と感動しました。

そして甕雫に合う料理ということで作ってもらったのが、この「鮪中トロ」。青森の大間(おおま)から今日届いたばかりの鮪を店長がさっと片面だけ炙ってくれて、それをポン酢で頂くという、涼感あふれる一品です。

「この焼酎、日本酒の"料理を中和させる"役割と、焼酎の"脂を流す"役割の両方を持ってると思ったんだよね。」と店長。日本酒は魚の生臭さを中和して、まろやかにしてくれる。そして焼酎は、脂をさっぱりと流してくれる。その両方を兼ね備えた特徴をもつ甕雫を、この脂が乗った鮪に合わせることによって、生臭さをさらに押さえ、さっぱりと頂けるようにしてくれたのでした。

おっしゃる通り、口の中での焼酎と中トロとの出会いは感動的ですらありました。まろやかに合わさって、さっぱりと流れていく。生きてて良かった~。

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持ち込んだ焼酎の試飲以外にも、店長が焼酎に惚れるきっかけになった焼酎、鹿児島県の富乃宝山を頂きました。この焼酎、仕込みに清酒で使われる黄麹が使われていて、吟醸酒や桃、メロンのようなみずみずしい香り、そしてくどくない甘さがあり、とてもおいしいのです。

「芋っぽくない芋焼酎なんて地元の人は焼酎じゃないなんていうかもしれないけれど、俺はまずこれで焼酎の概念が変わったからね。そこからはどんどんはまり込んでいった。」と店長。

さらに、店長が一番好きだという芋焼酎、鹿児島県高良(こうら)酒造の八幡も飲みました。こちらは先ほどの富乃宝山とは打って変わり、芋のうまさがぎゅっと凝縮した、しっかりと濃い味。前者が女らしい優しい酒だとしたら、後者はがっちりとした男の酒です。

富の宝山で目覚め、八幡に落ち着く。焼酎を知り尽くした通の選択には重みがあります。

空前の焼酎ブームの中でも、「どうも焼酎はクセがあって苦手」と思っている人もいるかもしれないけれど、様々な焼酎が選べる今がまさに、焼酎に目覚めるチャンスだと思います。AOBAの店長のように、1つのきっかけが大きな転機を産むかもしれないのです。

色々な焼酎を色々な料理にあわせて、自分が好きなスタイルで飲む。
焼酎が苦手な人がこのblogをきっかけに興味を持ってくれたり、焼酎好きが人がさらに好きになってくれれば、筆者としてこんなに嬉しいことはありません。

これからそんなblogを目指し、日々書き連ねて行きたいと思っていますので、今後もどうぞよろしくお付き合い下さい!

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お店情報:AOBA
〒153-0042
東京都目黒区青葉台3-22-1 目黒ハイツ1F
TEL/FAX:03-3716-8600
■DINNER (日祝 休)
 ・7:00 pm - 3:00 am (月~木)
 ・7:00 pm - 5:00 am (金、土)

投稿者 Admin : 2004年08月12日 18:35