焼酎百景 酒草子(しょうちゅうひゃっけい ささぞうし)

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2004年11月16日

六本木Bar Abbyにてへベスリキュールのカクテル二種を味わった

ご存じだろうか、「へベス」という名前を、、、?
関東、いや関西でも知らない人が多いであろうこのへベスとは「平兵衛酢」と書く宮崎特産の柑橘(かんきつ)品種だ。京屋酒造では、このへベスを麦焼酎に漬け込みリキュールにした「Hebess Ronde(ヘベスロンド)」を出している。この辺のことは利き酒師ちえさんの前回の記事にも書いたとおりだ。

僕が2年ほど前に京屋酒造を訪れた時、蔵人のひとりが僕に、濃い緑色の拳より少し小さいくらいの柑橘をみせてくれた。

「これ、なんだかわかります?」

「わからないよぉ」

「平兵衛酢っていうんですよ!独特の香りと酸味がある、日向の特産品なんです。いま、これを使った酒を研究中なんです!」

と得意げに教えてくれた。その結晶が実を結んだのが、このヘベスロンドなのだ。薄緑色の綺麗な、上品な甘口リキュール、、、この新商品、すでに人気が高いらしいのだが、実はこれをカクテルにして飲ませてくれる店がある。それが今回紹介させて頂く六本木「Bar Abby」だ。

実を言うと、この「Bar Abby」は、京屋Webの関係者の間では、やたらと稼働率の高いバーである。それはなぜかというと、ずっと前から京屋の焼酎、特に「甕雫」を置いており好評を博しているからだ。

「僕が宮崎出身だからというのもありますけどね。芋焼酎の旨さをもっと沢山知って頂きたいと思って、店には出しているんですが、お客さんの評判は無茶苦茶いいんですよ!」

というのは、このAbbyの店長である今村頼輝(いまむらよしてる)さんである。

現在も青山にある素晴らしいバー「Top Note」に在籍している時に京屋の焼酎を持ち込まれ、その味に驚嘆してから、日向生まれの血が騒ぎ出したのだろうか、京屋の焼酎を色んなイベントで使ってきたそうだ。

「以前、京屋さんから48本もの甕雫を仕入れて、それを大きな特注の瓶に入れて、系列店と一緒にお客さんに飲み放題していただくという企画をしました。大盛況で、ほとんど空いてしまったと思います。甕雫は飲み口がいいので、都会の方には合うのだと思いますね。」

そんな今村さんに、ヘベスロンドを使ったカクテルを作って頂いた!今回はそのレシピを一挙公開だ!

「レシピって言っても、すごく簡単なものですよ!ベースのリキュールが旨いので、手を加えすぎない方が旨いんです。」

といいながら教えてくれたのが、下記の二種だ。

1.へベス・クバーノ
 これ、実は名カクテルである「ソル・クバーノ」のアレンジだ。ソル・クバーノは、日本のバーテンダーが創作し、世界でも愛されているカクテル。ラムがベースになったそれを、ヘベスロンドをベースにしているのが今回飲ませて頂いたへベス・クバーノだ。

■へベス・クバーノのつくり方

(1)ロックアイスを作る。コップにちょうど収まりがいいように、3~4個入れておく。

(2)ヘベスロンドをコップに半分注ぐ。


(3)生グレープフルーツを手で絞った果汁を用意。これをグラス3分の1程度注ぐ。


(4)トニックウォーターを、グラスの縁まで注ごう。


あとは、これをステアしてできあがりだ。

どうだろう、非常に簡単だが、これでへベス・クバーノのできあがりだ。

薄緑色の美しい見た目と、グレープフルーツの爽やかで少しほろ苦さのある香りが、へベスの香りと相まって素晴らしい!ヘベスロンドはかなり甘めの酒なのだが、グレープフルーツを足すことによって、甘みが緩和され、大人の味に昇華されるのだ。

「ヘベスロンドはとても上品な味だと思います。バーテンダーとしては面白いですね。皮の苦みとか、ヘベスの香りを少しずつ残していて、いい状態を保っている。リキュールとしてはそのまま飲むにもいいと思います。ロックで飲むとよりいいですね。おそらく、ベースの焼酎にいいものを使っていると思いますよ!
山本さん、もう一品面白いのを作ったんですよ。飲んでみてください!」

と言って、やにわにキュウリを取り出しスライスし始める今村氏。薄切りにしたキュウリを今度は、やや大きめのみじん切りにし始めた。

「これは、、、へベス・キューカンバーとでも名付けましょうかね。」

2.へベス・キューカンバー

■へベス・キューカンバーのつくり方

(1)みじん切りにしたきゅうりをグラスに入れる。



(2)キュウリをステア用のスプーンで潰れない程度に押しつけ、果汁と香りを出す。

(3)ヘベスロンドを適量注ぐ。キュウリの香りが感じられる程度の量に。そしてステア。


(4)細かめのクラッシュアイスを満たし、キュウリの薄切りを添える。


出だしから意表をついたこのカクテルを一口含む。

ヘベスロンドをそのまま飲んだ時には甘い香りと糖分が感じられるだが、キュウリが入ることによって爽やかで強い清涼感が眼前に現れた!これはびっくり、素晴らしい相性だ。キュウリは瓜だからその独特の香りが強いものだけど、柑橘を合わせると青臭さがなくなり、ヘベスロンド自体をもっと上品なものに押し上げてくれる。

「これはビックリですよ、すごくすっきり、上品になりますね!」

「そうでしょ?実はこれ、常連のお客さんと一緒に考えたんです。ただのリキュールとして飲むだけじゃ面白くないなぁ、、、そうだ、キュウリと合うんじゃないの?って。ドンピシャでしたね。」

いや、ほんとうにビックリである。Abbyを訪れることがあればぜひ頼んで頂きたい。意外性が高いが、実は正統派の味になるのだ。脂モノを食べた後などには、口元が涼やかになること請け合いだ。

ヘベスロンドは、実はアルコール度数30度の強いお酒だ。なにも腹に入れずに飲み出したので、すぐにほろ酔い気分になってしまった。酔ったついでに今村さんのこれまでのヒストリーを聴いてしまう。

「僕は宮崎県の佐土原町というところで生まれました。学生の頃に飲食関係のバイトをしていて、まあ簡単にいえばバーテンダーってモテルんじゃないかと思って(笑)。卒業後、知り合いのバーテンダーさんに相談したら、料理を覚えろって言われたんです。それで神戸の元町のレストランで働き始めたんですね。そうしたら、震災が来たんです。もう街全体がガタガタで、バーテンダーどころじゃありませんでした。その頃、東京のバーテンダースクールを紹介されたんです。一念発起して東京に出てきて、青山「Top Note」に出会ったんです。オーナーの武蔵さんにお願いしたら「おいでよ」と言って頂いて、、、それから僕のバーテンダー人生が始まりました。」

今村さんが青山TopNoteにいる時代に、僕も数回寄らせて頂いた。その頃から元気のいい日向の熱っぽいエネルギーが、客席にも伝わってきたものだ。

「この店は、2003年5月から開店です。店舗自体は昔からあるのですが、オーナーさんからTopNoteのオーナーである武蔵に『店を引き受けて欲しい』というオファーがありまして、、、それで僕がアサインされたんです。この店は、インテリアデザイナーとして著名な内田繁さんがデザインした店なんです。こんなにスゴイ店を任せて頂けるのは名誉なことなので、頑張っているところです!」

すでに六本木では人気店となっているAbbyは、生のジャズピアノの演奏が聴けることでも有名だ。六本木とは言っても、喧噪から少しはずれたところにある玄人好みの店であることも幸いしている。客席は落ち着いており、酒を楽しむ客が立ち寄る店として確固とした位置を保っているのだ。

「京屋さんの焼酎は、本当のことを言うと、『かんろ』などの伝統的な焼酎が好きなんですよ。地元の人間から観ると、芋臭いのが好きなんですね。でも、地元以外の方、特に関東の方には、甕雫がとても飲みやすいと思います。クセが無くて、上品で、、、水を少し垂らすと香りも立ってきます。ウチに寄ったら、ぜひ一度お試し頂きたいですね。もちろんへベスカクテルもいつでもお出ししますよ!」

この取材をお願いしたのは月曜日の午後6時という、普通なら誰も酒を飲みに来ないような時間だったにもかかわらず、僕らが話をしているうちにお客さんが入ってきた。夜のスターターに一杯という感じだろうか。目配せをしながら今村さんがビールを注ぎにいく。

クールで確かな技量と熱い日向魂。この二つが合わさり、絶妙な京屋焼酎のカクテルが生まれる様を、とくと見せて頂いた。喧噪と幻惑の街・六本木に、静かに京屋の旨い焼酎の息吹が伝わっている。京屋ファンの方には、ぜひ一度訪れていただきたいものだ。

■Bar Abby
東京都港区六本木7丁目8-2 アルカサール八木8F
03-3408-1367
18:00~02:00
日・祝日 休み

投稿者 Admin : 2004年11月16日 20:13