焼酎百景 酒草子(しょうちゅうひゃっけい ささぞうし)

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2005年03月15日

焼酎文化は海を越える!「かんろ」をシチリア人が旨いと言った!

このblogを始めてからやろうとしていたことがあります。それは、「外国の人に芋焼酎、かんろを飲ませて反応を観たい!」ということです。ご存じの通り、世界には芋を使った蒸留酒があります。例えばポルトガルのアクアビットはジャガイモを使った酒ですね。しかし、サツマイモを使った蒸留酒はそんなにききません。日本の芋焼酎を、外国の人はどう感じながら飲んでくれるのでしょうか?

そんなことを思いながら、1月下旬に10日間ほど、イタリアのシチリアに行って来ました。私がよく行く下北沢のシチリア料理店「無二路」の重(しげ)シェフとの食い倒れ旅行です。そのblogシチリア旅行編は、私の食い倒れ日記をご覧下さい。

で、、、実はこの旅に持っていったわけですよ、「かんろ」を。持っていったのは、最もオーソドックスな「かんろ」と「特製かんろ」、そして「かねきょうかんろ」の三種です。重かったぁ!

シチリア滞在は、シラクーサという港町から始まりました。まず今回の旅の中で重要なガイドとなってくれたパスクワリーノという人物が居るのです。

「ケンズィ!(←私の名前)これは旨いから食べろ!あ、でもその前にこの角度から写真を撮れ!」というように常にハイテンションで案内しまくってくれました。彼と、彼の弟のロベルトが経営する「イオニコ」という店が、シラクーサの海を見渡せる湾内にあります。

この店ではシラクーサの伝統料理を堪能できるので、ついつい食べ過ぎて満腹になってしまいました、、、さてその食後、イタリア人には欠かせないドルチェをこれまた腹一杯に詰め込んだ後、おもむろに「かんろ」を取り出しました。

「実はこれは日本で人気のある、芋を使った蒸留酒なんだよ!」

どう訳すかというのがとても難しかったのですが、「グラッパ・パターテ」と言ってみました。グラッパはイタリアの有名な蒸留酒で、原料はブドウですね。つまりワインを蒸留した、度数も高く強烈なアタリのある酒です。パターテとは、ジャガイモのこと。芋焼酎はサツマイモからできますから本当は違うんですが、それ以外に言いようが無いのでそう表現しました。

「ふうん、そうかそうか」

などと言いながらパスクワリーノが口をつけます。

口に含んで空気を入れ、鼻に抜ける香りを楽しみながらニコッとしました。

「ヴォーノ!(美味しい)」

よかった、、、第一関門は突破です。

「美味しいね、、、芋の香りがほどよく残っていてとてもいい。飲み口もマイルドだ。ただ、グラッパというには度数が弱すぎるね。もっと喉の奥がかーっとなるくらいでないとね。」

とパスクワリーノが続けます。なるほど、グラッパは度数が高く、強烈な印象を残す酒です。25度の芋焼酎では、彼らには少々物足りないかもしれません。

ロベルトが一口含んで、同様の感想を述べた後、「ちょっと待ってろ」と言ってなにやら瓶を抱えて帰ってきました。

緑色の瓶は、なんだかラムネのような印象を与えます。ちょっとこの段階ではあなどっていました。

無色透明の液体をグラスに注ぎ、口に含んだ瞬間、グワッと強いアルコールの刺激と、何とも言えない甘く深い香りが鼻を抜けていきました!

「うおっ 強い! 、、、けど旨い!」

このお酒、なんと蜂蜜から作られる蒸留酒でした。そう言われてみればなんとなく、蜂蜜の甘い香りを感じます。

「これくらい強い方が俺たちにはいいね」

といいながら彼らはカパカパとグラスを空けていきます。ああすごいな、、、これに対抗するには、かんろの原酒を持ってくるべきだったかもしれません。芋焼酎は通常、割り水をして25度などに調整していますから、その前の原酒であれば彼らも納得するはずです。課題ができてしまいましたね。

さてその翌々日は、重シェフが厨房で修行をしていた第二の舞台、「ホテル・ネッチューノ」という海辺のリゾートホテルです。



ロビーにあるバーでは、「ちょっと飲んでいきなよ」と呼び止められました。

彼が握っているのはマルティニの瓶。甘い甘いマティーニをちびちびやるのがイタリアっぽくて佳い!

厨房に入ると、みんなが喜んで重シェフを迎えます。

「なんだよキーコ(重シェフの愛称)!立派になって戻ってきたな!」

日本人の器用なてさばきは、戦場となるホテルの厨房でもかなり重宝されたようです。さて、彼らは午後の休憩中ですが、ちょうどいいのでかんろを飲んでもらうことにしました。

料理長も興味津々。口に含むと、「フーム」と唸って喉に通します。

「旨いね。確かに芋の酒だ。それと甘さを感じる。ヴォーノだよ!」

また重シェフの悪友という、いかにも濃いキャラクターの彼もグビッと飲んでくれました。

「おお、美味しいね。うんうん、ちょっと弱いけどグラッパだね。」

といいながら、プラスチックカップに2杯分、カパッカパッと飲み干していました。

こんなにダイナミックな彼らが作る料理はさぞかし豪快なんだろうと思っていたら大間違い!こんなに繊細な盛りつけの前菜を出してくるんですよ!びっくりしてしまいました。

重シェフも古巣での歓待に大満足の様子です。

「やっぱりグラッパって言ってしまうと、彼らには強い酒というイメージがあるから、少し違う感じにとられるね。」

イタリア人に伝わるなにか新しい呼び名を考える必要がありますね。今度は原酒を持っていって、「うおッ、ストロングだな!」と叫ばせてやりたいものです。

と、こんな感じでシチリア人達も「芋の香りがしてほんのり甘い蒸留酒」として芋焼酎を認めてくれたようです。

さて皆さん、このblogは今回で一旦終了します。お楽しみいただけましたか?芋焼酎を色々な側面から楽しんでみるために、お店への突撃取材あり、焼酎文化の掘り下げあり、外国出張ありと、本当に書いていて面白いことばかりを体験できました。ことの発端となったのんべえ川柳にも秀作が集まり、かなりびっくりしました。酒飲みと川柳は共通するんですね。そして、私の右腕となって飲みまくってくれた利き酒師・ちえちゃんにもどうもありがとう!ワインエキスパートの資格も取得し、これから彼女は料理・酒の世界で羽ばたいていくでしょう。ぜひ皆さんの応援をお願い致します。

そして京屋酒造のかんろを、皆様どうかよろしく。宮崎市内の料亭の板長が「これが宮崎焼酎のスタンダードですわ」と言う焼酎です。僕も今後一層、飲みまくっていきたいと想います。

では、またどこかでお会いしましょう。その時は「かんろ」お湯割りを一緒に飲みながら、、、

投稿者 Admin : 2005年03月15日 08:50