焼酎百景 酒草子(しょうちゅうひゃっけい ささぞうし)

料理との相性

こだわり居酒屋仕掛け人が語る「焼酎の飲み方」に注目!

本格焼酎とくに芋焼酎がブームになって久しいが、焼酎の望ましい飲み方についての知識はどれくらい浸透しただろう?実は焼酎という飲み物は、温度や水での割り方によって全くその味わいが変わっていくのだけども、それが一般に伝わっているかどうかというと非常に怪しいと思う。

なので今回、そうした飲み方について、プロに教えてもらうことにしました!教えてくれるのは日本酒居酒屋仕掛け人である工藤卓也氏。彼は、20代後半の時分に、当時珍しい日本酒を燗で飲ませる居酒屋「五穀家日本橋店」の店長として脚光を浴びた人なんですね。実はこの頃、僕と彼は気が合い、兄弟分の付き合いをすることにして今に至ってます。

日本酒特に純米酒は、冷やで飲むのが旨いと思っている人が多いのだけど、燗にするのが一番美味しい飲み方だと思う。冷たいものを飲むと人の舌の味蕾は閉じてしまい、味をきちんと感じることができない。燗にすると、様々な旨味を感じるようになる。例えばキンキンに冷やしたコカコーラは美味しいと思うけど、常温のコーラを飲んでみて欲しい。きっと耐えられないほど甘ったるく不味いと思うはずだから、、、つまり、冷やした時に最適になるように設定されているのが大半の清涼飲料水なのです。従って、冷やして飲んで美味しい酒は、疑ってかかった方が良いというのが僕の考え方なんですね。

「純米酒は燗にするのが一番!でも、焼酎もそうだって知ってました?」

工藤ちゃんは実は有名な食関連の雑誌で、焼酎飲み比べ座談会のメンバーとして登場した程の経歴を持っています。今回、京屋の焼酎6種を飲み、最適な飲み方を色々と教えてもらったのです!工藤ちゃん、色々教えて!

「はいはい、では芋焼酎のおいしく飲む方法の基本をお話ししますね!まず原則として、ロックはあまりお勧めしません。」

バーなどではロックで飲まれることが多い本格焼酎ですが、これはなぜ?

「日本酒と同じです。冷たい飲み物はのど越しと切れを味わえますが、立ち上がる香りは押さえ込まれてしまいます。例えば缶コーヒーの自販機は冬はホットになりますが、夏に飲むより甘くて香りがあると思いませんか?逆に夏に飲むと切れがあり、ゴクゴクと飲めると思いませんか?このように、冷たい飲み物は、味わいや独特の香りが封じこめられてしまうきらいがあるのです。  これが、ロックをお勧めしない理由。ただ、『芋の香りが今ひとつ得意じゃない』という方にはいいかもしれませんが、、、」

なるほどぉ。そういうことですか、、、では、理想的な飲み方はどういうものなの?

「はい、あくまで僕の感覚ですが、焼酎はまず最初の一杯目では、ストレートで飲むのがいいでしょう。それも、焼酎の持ち味と香りを楽しむためにも『ごく少量』を飲むに留めましょう。量が多いと、どうも気が大きくなって流し込んでしまうので、味わいにくくなるんですよ。」

なるほど!ロックグラスみたいなのに芋焼酎を少量入れて、転がすようにして香りを立たせて楽しむといいんだね!ではその次は、、、?

「はい、焼酎本来の味と香りを楽しんだ次は、お湯割りで飲む!実はそれこそが、芋焼酎ならではの旨味を十分に味わえる飲み方だからです。焼酎を割るお湯は、必ずガス火で沸騰させてください。電子レンジで沸騰させたお湯は、芋の持つ味わいが壊れるので、辞めた方が良いですね。  お湯割りにした時の温度の基本は「44度~48度」がおすすめです。このため、割るお湯の温度は一端沸騰させた後、60度~70度くらいに冷ましておきます。そんなに熱くないでしょう?」

へええ そうなのか!

「はい。お湯が適温になったら、焼酎より先にお湯を器に注いで下さい。それから、ゆっくり、ゆっくりと焼酎を注ぎます。基本は、焼酎6:4です。ただしこれは焼酎のアルコール度数が25度の時の割合です。6:4で割るとだいたい度数が16度位のお湯割りになります。そして、温度は45度くらいになるのが理想的ですね。」

ということで、工藤ちゃんに教わったとおり、僕もやってみましたお湯割り!思ったよりぬるめにするんだなぁ、いつも熱い湯でわっていたけど、、、と思ったのだけど、言われたとおり45度くらいのお湯割りを飲んでみると、ビックリするほどに豊かな芋の風味がフワリと立ち上ってきました!なんていうのか、熱々のお湯割りでは感じられない繊細でふくよかな味と香り。美味しい日本茶を煎れる時も熱々にしないように湯冷ましするけど、焼酎もそうだったとは知らなかった!?

「飲み物は全部そうなんですよぉ!飲む時の温度で印象が全く変わるんです!舌の味蕾が一番その飲み物を感じられる温度にするんです。冷やでしか飲まない人がいますけど、もったいない!温度によって千変万化する酒の世界を知って欲しいですね。」

よーくわかりましたぁ!
さて、そうすると水割りなんかだとどうなるの?

「んー 冷たすぎない温度で水割りにすると、ストレートで飲むよりも香りが引き出されることもあり、美味しくは飲めます。けれど、問題が多いのもこの飲み方です。それは、水そのものによって味が決まってしまうということなんです。まずい水、例えば質の悪い水道水で作ると、酒ではない匂いがついてしまいがちです。一番理想的なのは、その酒を造っている蔵本から『仕込み水』を入手することでしょう。ただ一般にそれは難しいので、ミネラルウォーターで超軟水の水質のものを使うといいでしょう。  作り方ですが、焼酎と水の温度が低い状態では混ざりにくいという特質があります。ですから、グラスに先ず焼酎を入れ、次に軟水を入れて混ぜ、最後に氷を入れましょう。氷は少し溶けたものを使ってください。」

ふぅうううううん
知らなかったぁ、、、
いつもは氷を先に入れてしまうけど、それではダメなのね。了解、了解!

「最初に説明した通り、僕にとっては焼酎にはお湯割りが一番と考えます。ただ、本当に美味しいお湯割りを作る場合、もっと手の混んだ造り方をします。まず、事前の準備段階として『割り水』をします。水と焼酎をあらかじめ割った状態で、長ければ1ヶ月くらい寝かせておくんです。そうすると、アルコールと水の分子がうまく馴染んで、飲んだ時の味のなじみ具合が素晴らしい状態になるんです。これは、割り水したものと、その場で割ったものを飲み比べすればはっきりとおわかりいただける違いなんですよ。

で、この割り水した焼酎を、徳利にいれて湯煎にし、45度くらいの温度にして飲むのが最高です!焼酎って、飲み方で本当に色々変わってくる。色んな飲み方をしてみてくださいね。」

これ、知ってました??
僕は工藤ちゃんに飲ませてもらって、もう眼からウロコが落ちまくり!割り水の期間も、長ければ長いほどなじんで、刺激がこなれてきます。一口に言えば飲みやすくなる。だから、強い刺激が欲しいひとは、割り水期間を短めに、例えば前日の夜くらいでもいいかもしれないですね。

さて、最後に工藤ちゃんに、京屋酒造さんの焼酎を飲み比べてもらいました。仕込み水を送ってもらって、3時間くらいかけてテイスティングをしてもらってしまった!

「僕が気に入ったのは『かんろ』ですね。 ストレートで飲むと、芋の心地よい甘い香りと風味がします。 ロックで飲むと、ストレートで飲むよりも風味が引き立ちました。これは、適量の水分がとけ込んで香りが開いたのでしょう。 水割りですが、水道水で飲むと美味しくありません。京屋さんから送って頂いた仕込み水を使うと一変、グイグイ飲めそうな甘さと旨みが出てきます。 お湯割6:4にすると、とても旨い!芋の旨みが味わえました。 食べ物の相性ですが、茄子の煮浸しや揚げ出し豆腐といった、油を使った和風の味に合うと思いますね!

その他だと、『スーパーライトかんろ』はお湯割りに合います。『かね京かんろ』は食中酒に向いた香りがしますね。

以上、参考にしてくださいね。」

なるほど、相性の良いメニューまで教えてくれてどうもありがとう!

ちなみに工藤ちゃんは今年、日本酒・焼酎そして旨い肴を食べられる居酒屋を出店予定です!その際にはこのblogでも告知できたらと思います。早くしてね!

投稿者 Admin : 2005年02月02日 00:06

料理との相性

芋焼酎を調味料に、豚の角煮を作ってみた

皆様、新年おめでとうございます。ちえです。

今年もやまけんさんとともに、焼酎のよさをいろいろな面からご紹介できればと思っております。
どうぞよろしくお願いします。

さて、前回のエントリでは田崎真也さんの著書「本格焼酎を愉しむ」(光文社新書)から以下の一文をご紹介しました。

「芋焼酎特有の香りは、豚肉や鶏肉の香りを引き立てる効果があります。 豚や鶏の飼料は穀類です。ですから豚や鶏の脂は、穀類が熟成したような香りになり、穀類や芋の蒸れたような香りを持つ芋焼酎とは相性がいいのです。」

これは料理と合わせて飲むことを考慮に入れた一文ですが、料理との相性がいいのなら、いっそ入れてみてしまおう!ということで、今回は京屋酒造の「京屋時代蔵かんろ」を使って、豚の角煮を作ってみる+角煮と一緒に飲んでみることで、料理との相性を探ってみたいと思います。

「京屋時代蔵かんろ」は、宮崎紅芋を使い、常圧蒸留、黒麹で醸した一品。芋の強い風味と、黒麹由来のピリッとした後味が特徴の焼酎です。はっきりいって料理に入れるのはもったいないほど美味しい焼酎。

この焼酎を入れようと思ったヒントは、沖縄の「ラフテー」(沖縄風豚の角煮)でした。ラフテーを作るには泡盛を使います。泡盛は、皆さんご存知のようにタイ米を原料に、黒麹で醸したピリッとした風味が特徴のお酒です。この泡盛と京屋時代蔵かんろは黒麹を使っており、風味が強くクセがあるというところが共通項ではないかな?と思ったのです。

しかもこの焼酎、豚肉の香りを引き立てるという芋焼酎です。これはひょっとしたら、ラフテーよりうまいものができちゃうかもしれないですよ!

では、早速作るまでの様子をレポートいたします!今回はフィスラー社の圧力鍋を使って調理しました。また、量は大体の目安です。もしこれを参考に作られる場合は、圧力鍋のメーカーによっても調理時間や味のしみこみ方が変わるので、状況に応じて調節してくださいね。

s-chouri2.jpg1.豚バラ肉(500g)を圧力鍋に入れ、水を加えて蓋をせずに強火にかけ、ゆでこぼします
s-chouri3.jpg大根(1/3本を2cmの厚さの輪切りにし、それを4つに切ります)、長ネギ(緑の部分も含め、1本をぶつ切りにします)、生姜(1かけを薄切りにします)を1.の鍋に加え、ひたひたの水を加えて蓋をし、強火にかけます。
s-chouri4.jpg圧力がかかったら5分間そのまま火にかけます。5分後に火からおろし、水をかけて急冷します。
s-chouri5.jpgここで調味料を入れます。今回は砂糖大さじ3くらい、醤油80ccくらい、そして京屋時代蔵かんろを200ccと大量投入した上で、さらに強火にかけます。

(今回は2.5リットルという小さいサイズの圧力鍋で作ったため、調味料を入れると鍋が一杯になってしまいそうだったので、250ccほど、鍋の中のスープを取り除いてから入れました。もちろんこのスープは無駄にすることなく、塩・胡椒で味を調えて、長ネギの千切りとワカメを加えてスープとしていただきました)

圧力がかかってから5分後、火からおろして蓋が自然に取れるようになるまで自然に冷まします。

今回は鍋が小さいのでここで大鍋に入れかえ、しめじを入れて軽く煮込みました。そして味を見て必要があれば醤油などで味を調えて、完成です!

s-daikon.jpgs-niku.jpg

肉や大根は、箸でつかむとほろほろと崩れてしまいそうです。大根の色からも、味のしみ具合は分かります。

kakuni.jpg

そして盛り付けたのがこれです。下に敷いてある野菜は「あしたば」を茹でたものです。

さあ、味見と行きますか!

肉は見た目にたがわず、とろとろです。まったく臭みはなく、そしてほのかに栗やカシューナッツのような、木の実系の香ばしい味がします。これがおそらく、芋焼酎由来の風味なのではないかな?と思います。

そして京屋時代蔵かんろのロックとあわせてみました。この焼酎は黒麹でつくられているせいか、泡盛に似たピリリ感があります。これが角煮の脂っぽさをさらっと流してくれる気がします。そして、ピリリの後に追いかけてくるほんのりとした甘さが、角煮の上品な甘さと相乗するのです。

うん、これは大正解の組み合わせです!

「芋の香りが身上の芋焼酎を料理に入れるなんて、もったいない!」と思っているあなた、だまされたと思って入れてみませんか?今までとは違う、新しい焼酎の楽しみ方が見つかること請け合いですよ!

投稿者 Admin : 2005年01月10日 01:03